翻訳会社の雑学辞書トピック【イギリス】

ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック

国名の謎:イギリスはどこの国?

イギリス
《(ポルトガル)Inglezから》ヨーロッパ大陸の北西方、グレートブリテン島とアイルランド島の北東部から成る、立憲君主国。正称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国。

中国語英国(簡体字); 英國(繁体字) / 韓国語영국 / フランス語Royaume-Uni(略)

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

先日、BBCのNEWS JAPANサイトの英国カテゴリーに「トランプ氏のイギリス公式訪問」の一連の記事が掲載されていました。
露骨なメッセージの抗議デモやロンドン市民の皮肉を込めた言動を、いかにも「イギリス的」であると報じられていて、モンティパイソン世代の私にはとても面白かった──

というのが、この話の導入部ですが、ここから、先程出てきた「英国」や「イギリス」、「イギリス的」を、どう英訳 (または他言語へ翻訳) しますか。という話題にもっていきます。(せーの!)

翻訳会社の雑学辞書トピック:イギリス

(写真AC:ミラ Bidさん)

私達が「イギリス」「英国」と呼んでいるのは、正式には"United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"で、日本語に訳すと「グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国」ですね。略して「UK」。

日本での「イギリス」という呼び方は、"English"を意味するポルトガル語の"Ingles"(イングレス)や、オランダ語の"Engels"(エンゲルス)が由来と言われています。これが「エゲレス」となり、のちに「イギリス」と呼ばれるようになったのは江戸時代末期のことです。幕末の頃になると、イギリスを「英吉利」と漢字に当てはめ、そこから「英国」と使われるようになります。

しかし、昔は"England"を表していたであろう「イギリス」は大きく変化しています。
現在の「イギリス」は、便宜上4つの国から成立しています。グレートブリテン島のスコットランド、イングランド、ウェールズと、アイルランド島の北アイルランドです。実際のところ北アイルランドは国ではなく州ですが、この辺は複雑な事情があります。

このように「イギリス」は、それぞれ言語も歴史も異なった民族国家の集まりとなっており、日本での「イギリス」は、その意味するところがとても曖昧な単語となってしまっているのです。
ですので、日本語の「イギリス」という単語を翻訳する場合には、その作者の意味する範疇を理解して訳出しないと、とんでもないことになる可能性もあるのです。

「イギリス」といっても、UKの事なのか、イングランドやスコットランドでの話なのか、はっきりしないと意味合いが違ってしまう場合もあります。
また、「イギリス人」とは、どこの国の人なのか?(Google翻訳では、しれっとEnglishmanと訳されました。)これを間違うと、かなりややこしいことになるかもしれません。

まったくもって、曖昧な国名「イギリス」。翻訳するには気を使う単語なのです。
──と、このトピックの本題はここまで。最後は雑話で終わりますよ。(お時間がありましたらどうぞ。)

ところで、私はまるごと「イギリス」の自然や文化が大好きで、異なる4つの文化を持つ複雑さも魅力的だと思います。イングリッシュガーデンで、タータンチェックのひざ掛けをして、ギネスでも飲みながら、ウェールズ代表を応援したいぐらいです。えっ、それは危ないって?

2019.06.07

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