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国名の謎:トルコ語でトルコ

トルコ
《(ポルトガル)Turcoから》小アジアとバルカン半島の東端にまたがる国。正称、トルコ共和国。首都アンカラ。「土耳古」とも書く。

英語Türkiye / 中国語土耳其 / 韓国語튀르키예 / タイ語ตุรกี / ベトナム語giây

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

物の名称や表記、呼び方が変わることは、翻訳にも大きな影響を及ぼします。国の名前ならなおさらです。
トルコはもう「Turkey(ターキー)」ではありません。

2021年、トルコ政府は国内外での国名表記をトルコ語表記による「Türkiye(テュルキエ)」に統一すると発表。そして、国連の同意を得たことにより、2022年6月より公式の英語表記は "Republic of Türkiye" となりました。

スペイン語表記でのTurquia、フランス語表記でのTurquie、ドイツ語のTürkeiなども「Türkiye」に統一されます。

翻訳会社の雑学辞書トピック:トルコ アンカラ 三日月とコジャテペ・モスク

トルコの首都アンカラのコジャテペ・モスク

また、韓国語でもトルコ外務省の要請に応え、「テュルキエ(튀르키예)」表記の正式使用が始まっています。

日本語での国名「トルコ」は、ポルトガル語のTurco(トルコ人、トルコの)が由来となっています。今のところ 「トルコ」が変更される気配はないようですが、外務省の英語表記は"Republic of Türkiye"に変更されました。
2024年今年は、日本とトルコの外交関係樹立100周年で、在トルコ日本国大使館のホームページには「JAPAN TÜRKİYE 100th ANNIVERSARY」の素敵なハート形のロゴが掲載されています。

さて、英語のTurkeyには七面鳥の意味もありますね。これが数々の機械翻訳に混乱を招いてきました。なぜ国名と鳥の名前が一緒なのでしょうか? 調べてみました。

世界地図にアフリカからトルコ経由で持ち込まれたホロホロ鳥と北米から輸入されたターキーの移動を示した図

英語による「Turkey」という言葉は「land of the Turks(チュルク人の土地)」の意味で、オスマントルコ以前の11世紀後半の資料には記述が見られるそうです。
そして、アフリカからトルコ経由でヨーロッパに輸入していたホロホロ鳥のことを、Turkey cockと呼んでいたそうなんです。ややこしいことに、同時代にアメリカ大陸から家畜として連れてこられた七面鳥がホロホロ鳥に似ていたことから混同され、七面鳥もTurkey cockと呼ばれるようになり、だんだん略されてTurkey=七面鳥となった、という説が有力です。

しかし、間違えられたうえ省略された結果、鳥の名前が国名と同じになってしまった歴史は、もう過去のものにしたいです。トルコは「Türkiye」です。ターキーは「Türkiye」ではありません。
ああ、機械翻訳でトルコが七面鳥と誤訳されたり、トルコの写真を検索して七面鳥の画像ばかり出てくることがなくなれば、さぞ清々しい気持ちになることでしょう!

このように、国名の呼び方が変わることは他にもあります。
西アフリカのCôte d'Ivoireはフランス語で「象牙の海岸」の意味で、これを各国が自国語に意訳して、Ivory Coast(英語)、Costa de Marfil(スペイン語)など、さまざまに呼んでいました。しかし、1986年に政府がフランス語での国名Côte d'Ivoireを各国に要請、日本も「象牙海岸」から「コートジボワール」に変更しました。
トルコの北に位置するグルジアは、国からの要請で英語表記のジョージアに変更しています。

また、日本語ではカタカナ表記が変わることもありました。2019年、外国の名称に「ヴ」を使わない法案が可決され、アフリカの島国「カーボヴェルデ」は「カーボベルデ」に、カリブ海の「セントクリストファー・ネーヴィス」は「セントクリストファー・ネービス」となりました。

国名の変化、面白いですね。翻訳する言葉は時代とともに変わっていきます。

参考:Wikipedia(トルコTurkey

2024.03.11

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*文中における言葉の意味や説明は、weblio辞書goo国語辞書 大辞泉ウィキペディアを参照しています。


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