翻訳会社の雑学辞書トピック【ドイツ】
ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック
国名の謎:ドイツを何と言う
- ドイツ
- 《(オランダ)Duitsから》ヨーロッパ中央部、北はバルト海と北海に臨み、南はアルプス山脈に達する連邦共和国。16州から成る。首都ベルリン。
中国語德国(簡体字); 德國(繁体字) / 韓国語독일 / ロシア語Германия / ベトナム語Đức
参照元:weblio国語辞典、goo国語辞書、Glosbe
長く生きていればいるほど、知らないことの多さに気づかされますが、多言語を扱う翻訳会社で働いでいると、言葉に関する「?」にハマることがあります。最近もまた、知らないことが分かり感動することがありました。誰でも知ってる国の名前についてです。
ドイツの国名は、ドイツ語での正式名称はBundesrepublik Deutschland。通称Deutschlandです。 日本では、公式表記はドイツ連邦共和国、通称ドイツですね。これは、オランダ語のDuitsからきているようです。 英語ではGermany。フランス語ではAllemagne。ん?
言語により、ずいぶん呼び方が違うなと思いませんか。
ドイツはヨーロッパの真ん中に位置しているため群雄割拠の時代が続き、単一民族に長く統治されることがなかったことにより、対外的にいろいろな呼び方をされてきたという歴史があるようです。
では、ヨーロッパの他の国では、ドイツの事を何と呼んでいるのでしょうか。
オランダ語:Duitsland
イタリア語・ルーマニア語:Germania
フランス語:Allemagne
スペイン語:Alemania
ポルトガル語:Alemanha
チェコ語:Německo
ポーランド語:Niemcy
スウェーデン語・デンマーク語・ノルウェー語:Tyskland
フィンランド語:Saksa
ざっくりと由来も調べてみました。
ありがとうウィキペディア&ドイツ情報をアップしてくれている皆様。
ドイツ語のDeutschlandは、古高ドイツ語のdiutisc(民衆)が由来と言われています。オランダ語もこれです。
イタリア語やルーマニア語のGermaniaは、ゲルマン人の土地を意味するGermaniaに由来。英語のGermanyもこの流れです。
しかし、イタリア語ではドイツはGermaniaですが、ドイツ語やドイツ人のことはtedescoと言い、これまたややこしい。
フランス、スペイン、ポルトガルなどドイツより西の国では、ドイツ南西部にいたアレマン人の土地を意味するAlemanniが起源となっているようです。
スラブ語群のチェコ語やポーランド語などでは、スラブ祖語のnemets(しゃべれない人→外国人)が由来という説が有力のようです。
また、北欧の国では、スウェーデン語・デンマーク語・ノルウェー語のTysklandは、古高ドイツ語から派生した呼び方で、言語系統が違うフィンランド語のSaksaは、ゲルマン系部族の1つサクソン人(Saxon)が由来とのことです。
同じ国なのにややこしいですね。
でも、言葉の成り立ちを考えると、歴史や文化、地理までも見えてきて面白いものです。
さて、ある言語を異なる言語に翻訳するという仕事では、1つの単語の持つ背景までも分かるように訳出しなければならない場合があります。国名1つで歴史と地理をおさらいした私は、翻訳者の方々の多方面にわたる言葉の知識の蓄積と分析、その探求は如何ばかりかと、あらためて考えたのでした。
2019.05.24