翻訳者コラム[テーマ2]

ナイウェイ翻訳サービスの翻訳者による翻訳に関するコラム

翻訳に一番重要な事・大切な事

*翻訳歴はNAIwayに登録された年を基準に表記しています。

  • 分 野:特許・自然科学・電気/電子・半導体・材料・IT・磁気記憶装置
  • 対応言語:英語→日本語
  • 翻訳歴:約10年
翻訳する前に原文の文章を整え、作者の考えをきちんと理解する

例えば日本語を英語に翻訳する場合なら、翻訳する前にその日本語の文章を整えることが大事です。
自分が翻訳した文章を読み直してみて不具合を見つけた場合、原文の日本語の文章がきちんと書かれていないことに気づくことがよくあります。意味不明の言葉があったり、文章の流れがおかしかったりすると、そのまま英語にしても理解できる文章になりません。語順を変えるだけでもその文章が分かりやすくなることはよく経験します。読点、句点の打ち方一つで文章の意味が変わってしまうこともあります。

翻訳する際は、文章を読んで不明点を整理して、その文章の作者の考えをきちんと理解したうえで翻訳作業に取り掛かります。そうすれば翻訳した文章を見直す時間も短くて済みます。第3者が読めば、その文章を書いた人が自分の考えをきちんと整理して書いているのか、かいた文章を読み直しているのかわかってしまいます。翻訳の出来は原文に大きく左右されます。英語を日本語に翻訳する場合も同じです。

よい翻訳は相手を思いやる人間味が必要

現在、IT会社で働いています。仕事上、開発者などに協力して、仕様書の翻訳やQAなどのやり取りの翻訳をよくやります。
仕様書翻訳の場合、開発者がUI画面などを見ながら仕様書を読みますから、UI画面に関わる用語は日本語のままにするのが助かります。でも、毎回アップロードしたファイルは、UI関係用語が翻訳されているものがあります。翻訳者が翻訳する時、日本語の分からない開発者もいることを意識できなく、「自分が分かるから、あなたも分かるはず」と思ってしまいます。

翻訳は、ある言語を他の言語に変換し言語が違う人達の意思疎通を図る仕事です。人々や企業との間のかけ橋でもあります。そのため、相手側がよく理解できることが重要です。よい翻訳には、思いやりがキーワードです。深い人間味が無ければ、原文に含まれる感情を伝えることはできません。

機械翻訳と違い、思いやりをもって、自然で分かりやすい訳文を提出することが一番重要な事、大切な事だと思います。

  • 分 野:法律・会計・環境・旅行
  • 対応言語:日本語→タイ語 タイ語→日本語
  • 翻訳歴:12~13年
原稿の意図を読み解く努力を惜しまず、研鑽を続けること

原稿を正確に読み取り、どういう意図で書かれたものなのか、何を伝えたいのかをきちんと把握した上で、対象言語に翻訳していくというのが、翻訳に携わる上での基本的な姿勢であると考えています。

ところが、翻訳の現場では、原稿そのものが校正を経た完成度の高い文章ではないということが多々あります。スペルミスや口語表現が散見されるアンケートの回答がその代表的な例ですが、特定の業界や社内でしか通じない表現で書かれている社内資料や、要点のみを抜粋した研修用のプレゼン資料等は、文字を追うだけでは内容が理解できないことが多々あります。

そうした原稿に遭遇した時は、ひたすら行間を読み、伝えたいことは何なのかと考えを巡らせます。特にタイ語の原稿は、書かれた文字以上に、社会的背景、文化的背景を含めて読み解く必要があるため、その際にタイに約18年在住していた経験が非常に役に立っています。

そうした過程を経て完成した翻訳が、顧客が求める品質以上のものであり、それが用いられる現場で役に立ち、喜ばれる……というのが、理想の翻訳ではないかと思います。「言葉の壁」という比喩がありますが、その壁を取り除き、双方のコミュニケーションを円滑に、かつ有意義なものにできたとしたら、翻訳者としてこれほどうれしいことはありません。

そのような翻訳を提供できるよう、日々の努力を惜しまず、研鑽を続けられることが、翻訳をするにあたり一番大切な事だと考えています。

読み手の立場になり「こんなふうに言えば、本当に通じるか?」を考える

翻訳する時に大事なことは、原稿の言葉に注意しすぎなくて、その言葉に含まれている意味をターゲット言語に直すことです。翻訳の理想は、原稿に含まれている意味の全てをターゲット言語に直して、ターゲット言語のスタイルも守って、読み手が理解できるようにしなければなりません。翻訳しながらも、翻訳者が読み手の立場を忘れずに、「こんなふうに言えば、本当に通じるか?」ということに注意して進めていくことを心がけています。絵や写真ない解説につきましては、その絵に内容が合うに、伝えたい事は何か留意しながらも若干読みやすいように変更したりとすることもあります。

翻訳という仕事は語彙をそのまま変換するだけの作業ではありません。ターゲット言語の方にこちらが伝えたいことを伝える。この一言に尽きると思います。言い換え、言い回し、常識や文化背景まで、一つ一つの意味が表していることをどう相手に伝えるかを常に心がけています。

  • 分 野:ビジネス全般・観光(旅行)・化粧品・IT・飲食
  • 対応言語:日本語→韓国語
  • 翻訳歴:約3年
依頼への対応・丁寧な調査を行う翻訳作業・納期厳守、全てが重要

翻訳者にとっては依頼メールを頂いた段階から納品まで全てのプロセスが自分の信頼を保証することでもあるため、全ての流れが重要だと思います。
まず私はお仕事の依頼を頂いたらその仕事を引き受けるにしても受けないにしてもなるべく素早く確認し、返事をしています。毎日たくさんのメールを頂いているので、確認してすぐに返すのが次の仕事をスムーズに進めるためにも良いですね。
仕事を引き受けた段階では作業する際にとても丁寧に調査を行います。分野によりますが、未だによくわからない専門用語や言い回しがあったりするので、既に知っている簡単な単語や表現でも一々きちんと調べて何度も見直してから納品しています。
最後は必ず納期を守ることです。納期に遅れるのは自分にとっては絶対あり得ないことですね。いつも納期日の前日には納品しています。どうしても厳しい場合は事前に相談することもありますが、基本的に納期厳守というのを常に心掛けています。

  • 分 野:マニュアルHP・契約書・電子・電気・半導体
  • 対応言語:日本語→台湾繁体字 英語→台湾繁体字
  • 翻訳歴:20年強
忠実に言語転換した後の翻訳と思えない「表現力」が大事

日中翻訳に20年間従事し、様々な分野・形式の案件を経験しました。翻訳は、著者の分身として、異なる言語の読み手に情報を伝達するための仕事です。そのため、「100%忠実に言語転換の上、翻訳ものと思えないくらいの成果物に仕上げる」という目標を常に目指しています。目標達成のために、一番大事なのは「表現力」だと考えます。

原文の一字一句を正確に対象言語に訳出することは、翻訳作品の土台作りです。調査、ツール活用、チェックを地道に行うことで、翻訳ミスは基本的に防げると思います。このミクロの作業は、大事というより、基本です。簡単なフレーズなら、機械翻訳もAIやビッグデータの技術高度化により、正確さが人間並みのレベルまでできるようになるのは時間の問題でしょう。

構成がより複雑な文章の翻訳、さらに感動を与える翻訳は、やはり表現力が問われ、翻訳者の技量やセンスによってその芸術性は千差万別です。有能な翻訳者が輩出する中で、翻訳の基本を徹底の上、如何に自分の味を出すか、常に心掛けています。

  • 分 野:ビジネス一般・マーケティング・IT・マニュアル
  • 対応言語:英語→日本語
  • 翻訳歴:約5年
内容を深く理解し明確に訳す、タイプ別に書き分ける文章力も必要

内容や表記が正確なのは言うまでもないことですが、実務翻訳というジャンルである以上、仕上がった訳文を使って、クライアント様が滞りなく業務を進められることが最も重要だと考えています。それには、翻訳者が内容を深く理解して異なる言語の軸をきっちりと合わせ、文章や単語のニュアンスをくみ取った上で、自分の文章として読みやすく明確な訳文を書くことが大切だと思います。その上で各分野の専門用語を調べ、その分野を専門とする人が読んでも違和感のない訳文に仕上げることです。

翻訳者は専門や得意分野はそれぞれありますが、用語は製品・サービスごとに異なりますし、最新の用語も日々生まれています。用語があらかじめリストアップされているケースは少ないので、原文を読んだ時点で専門用語であることを見分けられる力も必要だと思います。

そして最後に文章のニュアンス。顧客を引きつけるための製品のコピー、従業員用のマニュアル、国際会議で使われるスライドなど、あらゆるタイプの文書を書き分けられる柔軟な文章力も必要だと思います。いずれも短期間で身につくものではなく、私自身も案件を重ねるごとに経験を積ませていただいています。

  • 分 野:ビジネス全般・規格・仕様書・IT
  • 対応言語:英語→日本語
  • 翻訳歴:約7年
文書の目的と読者を意識するために書き手と読み手の両方になりきる

翻訳をするにあたり一番大切なのは、その文書が何に使われるか、誰に読まれるかを意識することだと思います。たとえば、社内での情報共有を目的とした資料であれば、情報を過不足なく正確に伝えることが何よりも大事になります。ところが、同じ資料を社外向けのプレゼン資料として使う場合、正確に訳すだけでは十分とはいえません。プレゼンターにとって使いやすく、かつ、プレゼンを聞く人の心に訴える資料になるように翻訳することが求められます。

文書の目的と対象読者を意識して訳すプロセスにおいて効果的だと感じるのは、書き手と読み手の両方になりきることです。「この文章を書いた人はどんな人なのか。どんな状況で、どんな目的で書いたのか」等々、書き手を想像して、その人になりきります。同じように読み手についても想像してみると、不思議なことに、原文を読むだけでは気づかなかったことに気づいたり、文脈を理解できたりします。その結果、読む人を混乱させる不要な情報を省いたり、接続詞を補ってわかりやすくしたり、何かしらの工夫が生まれ、お客様に満足していただける翻訳に近づくのではないかと思います。

  • 分 野:法律・裁判・政治経済・石油技術・機械技術・文学
  • 対応言語:アラビア語→日本語 英語⇔アラビア語
  • 翻訳歴:約20年
意味を伝える「意訳」と意味不明な「直訳」のバランス

翻訳の面白さ
翻訳作業は、何よりもまず原文の作成者の意図を正確に理解することから始まると思います。
常に新しい翻訳対象の文書を前にして、初対面のような緊張感をもって臨んでいます。そして、作業を開始すると共に、初対面の相手に少しずつ馴れてくると、相手の特徴も分かって来ます。気難しいと思った相手も、意外に優しかったりすることもしばしばです。この辺りに翻訳の面白さがあり、醍醐味があると確信します。それと共に、作業もスムースに進められるようになります。
そして、実際の翻訳作業ですが、一つの言語から、別のもう一つの言語に、言葉の一つひとつの意味を正しく翻訳し、伝えるということは大変な作業です。元の言葉の意味を伝えようとするあまり、元の文言を翻訳者の勝手で「意訳」するようなことのないよう気を配りながら、さりとて「直訳」のあまり、意味不明な翻訳になってしまうことも避けなければなりません。常にバランスのとれた翻訳に努めることが肝要と心しております。

ナイウェイの翻訳者コラム
ページの上部へ移動