翻訳会社の雑学辞書トピック【温故知新】

ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック

〈温故知新〉

おんこ ちしん【温故知新】
《「論語」為政から》昔の事を調べて、そこから新しい知識や見解を得ること。ふるきをたずねて新しきを知る。

英語developing new ideas based on study of the past / 韓国語온고지신

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

先週末に久しぶりに古本屋巡りをしていたら「呂氏春秋」の解説本に巡り合い買い求めました。ご存知の方も多いと思いますが、「呂氏春秋」は秦の始皇帝の父・荘襄王を邯鄲の人質時代に見出した呂不韋 (このドラマは宮城谷昌光さんの「奇貨居くべし」をご一読下さい。) が編纂させた中国の春秋時代末期の百科事典のような書物です。
呂不韋が自ら見出した荘襄王の時代、そしてその子の始皇帝の時代前期(国家統一以前)に、宰相として権勢を振るった時期に3,000人を超えると言われた食客たちをフル稼働して編纂させた大著です。

翻訳会社の雑学辞書トピック:温故知新

始皇帝の国家統一以前となると、紀元前3世紀(紀元前200年代)の中頃であり、日本は漸く弥生時代の入口に差しかかった時代です。同じ時代に中国では既に、過去の夏、殷、周の王朝時代(一部神話の時代もありますが)やその後の孔子などの思想家や諸侯英雄が入り乱れた春秋時代を回顧しつつ、今後の治世の有り方や人の生き方を論じる書物が編纂されていた事に感銘を覚えます。その頃から人は「温故知新=故事をたずね新しきを知る」努力をしていたのですね。

内容には「八観六験を以って人物を評価する」など今にも通じる真理が数多く散りばめられています。また、中国では秦の後の漢の時代の司馬遷など多くの歴史家、思想家たちによって、解説書や抄本が出されていますし、日本でも平安時代以降の各時代にその解説本が著されており、国を超えて将来の人類の教科書となっています。

顧みて私たちは今の時代に、将来の人類に残せるものを「温故知新」しているでしょうか?私自身胸に手を当てて忸怩たる思いがあります。但し、まだ遅くは無いとも思います。古代ローマのトゥキディデスの罠の故事を引きながら、現在の米国と中国の覇権争いを戦争に至らせない為の努力が世界的に成されているように、洋の東西を問わず、古(いにしえ)に学びながらより良い未来を将来の人類に残せる努力をせねばなりません。その一つのソリューションは円滑なコミュニケーションです。言語のそして翻訳の果たす役割もまた、重要かと自らに戒めています。

2018年8月

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