「機械翻訳ならすぐできるでしょ?」実はそんなに簡単じゃない、翻訳会社のひと手間
「翻訳会社で機械翻訳?Word原稿をソフトに読み込ませたら、すぐできるんでしょ。早くやって!」
というのはお客様から実際にあった話……ではございません!
ございませんが、「機械」や「AI」と聞くと、人がひとつひとつ作業するよりもパッと手早くスピーディーにできる……というのは誰しもが想像するものでしょう。
実際、一般的に利用されている機械翻訳や生成AIは、文章を入力すれば、あっという間に翻訳結果を返してくれます。
では、翻訳会社に依頼する場合も、原稿をそのまま機械・AI翻訳に読み込ませれば、それで終わりなのでしょうか?……実は、そう簡単にはいかないのです。
原稿によっては、そうはいかない
Wordで文字だけがずらっと入力された、いわゆる「ベタ打ち」の原稿。
レイアウトがほとんどなく、文章がシンプルに並んでいるデータであれば、AI翻訳にとっても比較的扱いやすい原稿です。
とはいえ、皆様もそのようなシンプルな原稿を、そうそう作成することはありませんよね。
手紙であればレイアウトを組んでいますし、読みやすいように改行を加えることもあります。それこそ、表を使って情報を整理していることもあるでしょう。
人間が読む分には何の問題もない原稿でも、“改行に弱い機械・AI翻訳”では、本来はひとつの文章としてつながっているものが、改行によって別々の文章として認識されてしまいます。
すると、文脈を正しく捉えられず、翻訳結果が不自然になってしまうことも多々あります。
そのため、AI翻訳を行う前に原稿を確認し、必要に応じて改行などを整理する「前処理」が必要になることがあります。
この「翻訳する前の準備」も、実は品質を左右する大切な工程です。
その重要性については、前回こちらのブログで紹介しています。
https://www.naiway.jp/kaigyo01-blog/
PowerPointはさらにひと手間
さらに、見た目が重要視されるPowerPointとなると、より複雑です。
タイトル、本文、図形、表、グラフ、画像……と、「読む人にとって分かりやすい資料」にするために、さまざまな要素が配置されています。
人間にとっては「見やすい資料」でも、機械翻訳にとっては、必ずしも「翻訳しやすい資料」ではありません。
改行もたくさん使用していますし、別途作成したグラフデータを読み込ませて作成している場合もあります。
その場合、機械やAIがすべて翻訳をしてくれるとは限らないため、目視で確認をしていく必要があります。
また、グラフや図が画像になっている箇所は、当然翻訳することはできず、そのままになります。上からテキストボックスを被せて、翻訳を入れて……というのは、AIにはなかなか難しい場面も多いです。
文字が枠からはみ出していないか、行間がおかしくなっていないか、ページから文章が飛び出していないか……など、さまざまな問題も出てまいります。
言語によって文章の長さが違う
そして、もう一つ忘れてはいけないのが、言語によって文章の長さが変わるということです。
例えば、日本語の資料を英語に翻訳すると、同じ内容でも文章の見た目が大きく変わることがあります。
反対に、中国語などでは、日本語よりも少ない文字数で同じ内容を表現できる場合もあります。
つまり、
「翻訳する前はちょうどよく収まっていたのに、翻訳したら収まらなくなった!」……ということが起こるのです。
PowerPointの1ページにきれいに収まっていた文章が、英語にした途端に枠からはみ出してしまう。
あるいは、中国語にしたら今度は空白が目立ってしまう。
こうした場合、単純に文字を小さくすればいいというわけでもありません。文字が小さくなりすぎれば、今度は読みづらい資料になってしまいます。
そこで、翻訳の内容を損なわない範囲で表現を調整したり、レイアウトを調整したりする必要があります。
「収まるようにもう一度AI翻訳に読み込ませて、短く修正して……」と繰り返していたら、いつの間にかかなりの時間がかかってしまいます。
これでは、せっかくAI翻訳を活用している意味が薄れてしまいますよね。
AI翻訳は「使って終わり」ではない
AI翻訳はとても便利なツールですし、大量の文章を短時間で翻訳したい場合など、人間だけでは時間がかかる作業を効率化することができます。
だからこそ、私たちもAI翻訳を「使わない」のではなく、どうすれば機械翻訳の力を最大限に活かせるのかを考えています。
そのために必要なのが、人による確認や調整です。
原稿をAI翻訳に適した状態に整える。
AI翻訳の結果を確認する。
必要に応じてネイティブによるポストエディット(PE)を行う。
翻訳後のレイアウトを確認する。
そして、最終的に「これならそのままお客様に使っていただける」ところまで仕上げる。
AI翻訳そのものは速くても、その前後には、人だからこそできる作業がたくさんあります。
AI翻訳のフォローは翻訳会社にお任せください!
私たちは、機械翻訳の力を最大限に引き出すための「見えない一手間」を惜しみません。
「機械翻訳した原稿をネイティブチェックして、レイアウトに収まるようにしてほしい」
「AI翻訳を活用して、翻訳費用を抑えたい」
「大量の原稿なので、できるだけ効率よく翻訳したい」
そういったご希望も、弊社ではお受けしています。
機械翻訳+ポストエディットを最大限に活用したい――そんな企業様のお役に、確かな形で立てるよう。 これからも、現場の最前線で、丁寧な仕事を積み重ねてまいります。




