AI翻訳が現場に与えた影響
近年、AI翻訳の精度向上は目覚ましいものがあります。
実際、多くの企業では、
- 英語
- 中国語
- 韓国語
などの翻訳にAI翻訳を活用し始めています。
そして実際に、
「英語なら、かなり使える」
という評価を耳にすることも増えました。
一方で、
- ベトナム語
- インドネシア語
- タイ語
などになると、
「AI翻訳だけでは不安」
という声が急に増えます。
なぜ同じAI翻訳なのに、このような違いが生まれるのでしょうか。
理由① 学習データ量が圧倒的に違う(AIも紙情報はスキャンデータ)
AI翻訳の品質は、
どれだけ多くの翻訳データを学習したか
に大きく左右されます。
英語は世界最大級の言語です。
インターネット上には、
- 論文
- ニュース
- マニュアル
- 契約書
- ウェブサイト
など膨大な量の英語データが存在します。
さらに、
英語⇔日本語
の翻訳データも非常に豊富です。
そのためAIは、
英語翻訳のパターンを大量に学習できます。
一方、
ベトナム語
タイ語
などは、
学習できるデータそのものが少ないのです。
さらには、こんな事実があります。
たとえば辞書や古い書物など、紙でしか存在しない情報は、AI会社の社員が、一生懸命スキャンして情報を収集しているの、ご存知ですか?
英語や中国語といったメイン言語なら、陰でこんな努力が行われていますが、東南アジア言語では...
つまり、
AIの経験値が大きく違う
と言えます。
理由② 英語は確認できる人が多い
実は品質面で大きいのがここです。
例えば社内で英語翻訳を作った場合、
完全に読めなくても、
「なんとなくおかしい」
と気づける人がいます。
営業担当
技術担当
研究者
管理職
など、
英語に触れた経験がある人は少なくありません。
ところが、
ベトナム語やタイ語になるとどうでしょうか。
翻訳結果を見ても、
正しいのか間違っているのか
判断できる人がほとんどいません。
つまり、
間違いがあっても発見できない
という問題が発生します。
理由③ 現地独特の表現が多い
東南アジア言語では、
単純な翻訳以上に
現地の慣習
文化
ビジネス習慣
が重要になります。
例えば、
日本語の
「お世話になっております」
をそのまま翻訳しても、
現地では不自然になることがあります。
また、
技術資料やマニュアルでも、
現地業界で一般的に使われる用語
が存在します。
AI翻訳は意味を訳せても、
現地で自然に使われる表現
までは判断できない場合があります。
理由④ 専門用語の統一が難しい
企業翻訳では、
用語統一
が非常に重要です。
例えば、
同じ製品マニュアルの中で、
ある部品名が
- Aと訳されたり
- Bと訳されたり
すると現場が混乱します。
英語では比較的統一されやすい用語でも、
東南アジア言語では
複数の表現が存在することがあります。
そのため、
ネイティブチェッカーによる確認
が重要になります。
理由⑤ AI翻訳は「自然な誤訳」が増えている
最近のAI翻訳で特に怖いのが、
不自然な誤訳
ではなく
自然な誤訳
です。
昔の機械翻訳は、
明らかに変な文章になるため、
すぐに気づけました。
しかし現在のAI翻訳は、
非常に自然な文章を生成します。
そのため、
読みやすい
理解できる
でも実は意味が違う
というケースが発生します。
しかもベトナム語やタイ語の場合、
日本側でその間違いを発見するのが困難です。
だからこそ多言語PEが注目されている
最近増えているのが、
AI翻訳+PE(ポストエディット)
という運用です。
まずAI翻訳を行い、
その後、
現地語ネイティブや専門翻訳者が
- 誤訳確認
- 用語統一
- 表現調整
- 業界用語確認
を行います。
これにより、
AI翻訳のスピード
と
人間の品質管理
の両方を活用できます。
実際に増えている相談
最近当社でも、
次のような相談が増えています。
「ベトナム語にAI翻訳して納品しているが、本当に合っているかわからない」
「インドネシア語の取扱説明書を作ったが、現地法人から質問が来た」
「タイ語の翻訳結果を確認できる人が社内にいない」
「翻訳会社に依頼するほど予算はないが、最低限チェックしてほしい」
このようなケースでは、
AI翻訳をゼロからやり直すのではなく、
PEによる品質確認
が有効な選択肢になります。
まとめ
AI翻訳は確実に進化しています。
特に英語については、
多くのビジネス文書で実用レベルに達しているケースも増えています。
しかし、
ベトナム語
インドネシア語
タイ語
などの東南アジア言語では、
学習データ量
現地表現
専門用語
品質確認体制
などの理由から、
まだ人のチェックが重要です。
翻訳できることと、
安心して顧客や現地スタッフに使ってもらえること
は別問題です。
だからこそ今、
多言語PE(ポストエディット)が注目されています。
AI翻訳のスピードを活かしながら、必要な品質を確保する。
それが、これからの多言語翻訳の現実的な選択肢なのかもしれません。
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