AI翻訳の前に失敗している?紙資料のデジタル化で起こる見えないリスク

近年、多くの企業でAI翻訳の活用が進んでいます。翻訳コストの削減や納期短縮といったメリットが注目され、「まずAI翻訳にかけてみよう」という流れは今や珍しくありません。

しかし実際の現場では、AI翻訳そのものよりも前の段階で品質上の問題が発生しているケースがあります。

それが「紙資料のデジタル化」です。

今回は、AI翻訳を活用する際に見落とされがちな、紙資料のデジタル化とOCR(光学文字認識)のリスクについてご紹介します。

AI翻訳の精度が上がっても、入力データが間違っていたら?

最近のAI翻訳は非常に高性能です。

英語や中国語はもちろん、ベトナム語やタイ語、インドネシア語など、多言語への翻訳も以前と比較すると大きく進化しています。

しかし、AI翻訳は入力された情報を基に翻訳を行います。

つまり、入力データが間違っていれば、その間違いを引き継いだまま翻訳してしまうのです。

例えば、紙のマニュアルや古い資料をスキャンしてPDF化し、OCRで文字認識を行った場合、以下のような誤認識が発生することがあります。

【原文】

Maximum pressure: 0.5 MPa

【OCR後】

Maximum pressure: 0.5 NPa

一見すると小さな違いですが、技術文書や医療文書では大きな問題につながる可能性があります。

AI翻訳はOCRで認識された文字をそのまま翻訳するため、元のデータが誤っていれば、翻訳結果も誤ったものになるのです。

OCRエラーは想像以上に多い

OCR技術も進歩していますが、完全ではありません。

特に以下のような資料では誤認識が発生しやすくなります。

  • 古い紙資料
  • コピーを繰り返した文書
  • 手書きの注記がある資料
  • FAX原稿
  • 画質の悪いスキャンデータ
  • 医療機器や装置の細かい仕様書

例えば、

「l(小文字のエル)」と「1(数字のイチ)」

「O(アルファベット)」と「0(数字のゼロ)」

「mg」と「mgs」

などが誤認識されることがあります。

一般的な社内資料なら大きな問題にならないかもしれません。

しかし、契約書、医療文書、技術マニュアル、品質管理文書などでは話が変わります。

数字や単位の誤りは、場合によっては重大なトラブルにつながる可能性があります。

医療・ヘルスケア分野では特に注意が必要

ヘルスメディカル分野では、翻訳そのものよりも前工程の品質管理が重要になることがあります。

例えば、

10 mg

がOCRによって

100 mg

と認識されてしまった場合、翻訳以前の問題です。

AI翻訳がどれだけ高性能であっても、誤ったデータを正しいデータに修正することは基本的にできません。

むしろ、自然な文章として翻訳されることで、誤りに気付きにくくなるケースもあります。

医療機器の取扱説明書、IFU(添付文書)、製薬関連文書などでは、このようなリスク管理が欠かせません。

「AI翻訳+PE」だけでは解決できないケースもある

最近では、多くの企業がAI翻訳後にポストエディット(PE)を行う運用を採用しています。

これは非常に有効な方法ですが、原稿の状態によってはPE担当者でも判断が難しいケースがあります。

なぜなら、PE担当者が確認できるのは通常、

「原文」

「翻訳結果」

だからです。

原文自体がOCRで誤認識されている場合、その誤りを見抜くためには専門知識や資料全体の文脈理解が必要になります。

つまり、

紙資料

スキャン

OCR

AI翻訳

PE

という工程の中で、最初の段階の品質が極めて重要なのです。

AI時代だからこそ求められる人のチェック

AIの進化によって翻訳作業の効率化は大きく進みました。

しかし同時に、

「入力データの品質」

の重要性が以前よりも高まっています。

AIは非常に優秀な翻訳者ですが、元データの誤りを完全に見抜けるわけではありません。

特に医療・ヘルスケア分野や技術文書の翻訳では、

  • OCR結果の確認
  • 原文品質の確認
  • 用語統一
  • 数値・単位の確認
  • 専門家によるPE

といった工程が重要になります。

まとめ

AI翻訳の品質について語られることは多いですが、実は翻訳の前段階である「紙資料のデジタル化」に問題が潜んでいることがあります。

どれほど優れたAI翻訳エンジンを使っても、入力データが誤っていれば、正しい翻訳結果は得られません。

特に医療・ヘルスケア分野や技術文書では、OCRエラーや原文品質の確認が欠かせません。

AI翻訳をより安全かつ効果的に活用するためには、「翻訳品質」だけでなく「入力データ品質」にも目を向けることが重要です。

NAIway Translation Serviceでは、多言語ポストエディットやヘルスメディカルポストエディットにおいて、翻訳結果だけでなく原文の状態も考慮した品質管理を行っています。

AIを活用しながらも、人の目による確認を組み合わせることで、より安心できる翻訳品質をご提供しています。

アジア言語、ヨーロッパ言語などの多言語翻訳に“速く”、“安く”、“正確に”をお求めの方は

NAIway翻訳サービスの

医療・ヘルス・サプリ等の医療関係の翻訳に“速く”、“安く”、“正確に”をお求めの方は