翻訳会社は翻訳だけではない

ファクトチェックが企業の信頼を支える理由

「翻訳会社の仕事は、外国語の文章を日本語へ、あるいは日本語を外国語へ正確に訳すこと。」
多くの方がそのようなイメージを持っているのではないでしょうか。

もちろん、翻訳は翻訳会社の中核となる業務です。しかし、企業のグローバル展開が加速し、情報発信の重要性が高まる現在では、「正しく訳す」だけでは十分とは言えなくなっています。

そこで近年、翻訳会社に求められる役割として注目されているのが「ファクトチェック(事実確認)」です。

文章を自然な表現で翻訳するだけではなく、その文章に書かれている内容そのものが正確であるか、最新の情報に基づいているかを確認することも、高品質な翻訳サービスには欠かせない工程となっています。


翻訳が正しくても、情報が間違っていては意味がない

例えば、企業のホームページを英語へ翻訳するとします。

翻訳者が文章を完璧に訳したとしても、原文に古い情報や誤った内容が含まれていれば、その誤りまで正確に翻訳されてしまいます。

これはAI翻訳でも人間の翻訳でも同じです。

つまり、「翻訳が正しいこと」と「情報が正しいこと」は、まったく別の問題なのです。

例えば、次のようなケースは決して珍しくありません。

  • 数年前の統計データがそのまま掲載されている
  • 法律や制度が改正されているにもかかわらず、古い内容のままになっている
  • 企業名や組織名が現在の正式名称ではない
  • 製品仕様やサービス内容が更新されている
  • 人物の肩書きや役職が変更されている
  • リンク先がすでに存在しない

これらを確認せずに翻訳すると、読者には「誤った情報」が外国語で伝わってしまいます。

海外の取引先や顧客に誤情報を発信してしまえば、企業の信用を損なう原因にもなりかねません。




ファクトチェックとは何を行うのか

ファクトチェックとは、文書に記載されている情報が事実と一致しているかを確認する作業です。
翻訳会社では案件によって確認範囲は異なりますが、一般的には次のような内容をチェックします。


まず、企業名や団体名、製品名、サービス名などが現在の正式名称であるかを確認します。
続いて、公的機関や企業の公式サイトを参照しながら、数値データや法令、制度、規格などが最新情報であるかを確認します。


さらに、年月日や住所、電話番号、URLなどの基本情報も重要な確認項目です。
専門分野では、医学・医療、製薬、法律、金融、工業、ITなど、それぞれの分野で使用される専門用語や業界標準との整合性も確認します。
このような確認作業は、一見すると翻訳とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、翻訳品質を支える非常に重要な工程なのです。


なぜ今、ファクトチェックが重要になっているのか

インターネットが普及した現在、誰でも簡単に情報を発信できる時代になりました。
その一方で、古い情報や誤った情報がそのまま残っているケースも少なくありません。


企業のWebサイトであっても、何年も更新されていないページが存在することは珍しくありません。
また、海外向けサイトでは、日本国内向けサイトの情報をそのまま翻訳して掲載しているケースも多く見られます。


しかし、海外の読者は、その情報が最新なのか古いのかを判断することができません。
だからこそ、翻訳会社が事前に情報を確認し、必要に応じて依頼者へ確認事項をフィードバックすることが重要になります。
翻訳会社は単なる「言語の専門家」ではなく、「情報を正確に伝える専門家」としての役割も担うようになっているのです。


AI翻訳では補えない部分

近年ではAI翻訳の性能が大幅に向上し、多くの企業でも導入が進んでいます。

短時間で大量の文章を翻訳できることは、大きなメリットと言えるでしょう。

しかし、AIは入力された文章を翻訳することは得意でも、その内容が正しいかどうかを判断することは基本的に行いません。

例えば、

「この法律は現在も有効なのか」

「この統計は最新版なのか」

「この会社名は社名変更後の名称なのか」

「この製品は現在も販売されているのか」

といった判断には、人による確認が必要です。

さらに、専門分野では、文脈や業界特有の慣習を理解した上で適切な表現を選択することも重要になります。

AIを活用しながらも、最終的には人が内容を確認し、必要に応じて修正や確認を行うことが、高品質な翻訳には欠かせません。

ファクトチェックは企業のリスク管理にもつながる

翻訳文書は海外の顧客や取引先だけでなく、投資家や行政機関、メディアなど、多くの人が目にする可能性があります。
もし誤った情報が掲載されていた場合、

「情報管理が甘い企業」
「更新されていない会社」
という印象を与えてしまうこともあります。

一方で、内容が正確で最新の情報に基づいている文書は、企業への信頼感を高めます。
つまり、ファクトチェックは翻訳品質を向上させるだけではなく、企業ブランドやリスクマネジメントの観点からも非常に重要な役割を果たしているのです。

高品質な翻訳は「見えない工程」で支えられている

翻訳会社が提供する品質は、翻訳者の語学力だけで決まるものではありません。
原稿の内容を理解し、専門用語を調査し、用語集を確認し、最新情報を調べ、必要に応じて依頼者へ問い合わせを行い、その後に校正・校閲を実施する。
このような数多くの工程を経て、初めて高品質な翻訳が完成します。

弊社では、名称が現地で通用するものかを確認する「名称チェック」や金額・アプリ名・店舗名を現地で一般的な名称にする等の「ローカライズ」の対応に力点を置いた翻訳を行っております。確実に「通用する」翻訳をご検討中でしたら、ぜひご相談下さい。