翻訳会社の雑学辞書トピック【竜】

ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック

竜と龍とドラゴンを翻訳

りゅう【竜】
想像上の動物。体は大きな蛇に似て、4本の足、2本の角、耳、ひげをもち、全身鱗 (うろこ) に覆われている。多く水中にすみ、天に昇り雲を起こして雨を降らすという。

英語 dragon / 中国語 龙(簡体字); 龍(繁体字) / 韓国語

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

2023年は、押し寄せるAI翻訳の大波にとうとうさらわれた年でした。今、大海原を漂っています…
来年はAIの巻で遠くまで飛ばされそう… この勢力は頭蛇尾ではありません…(導入下手すぎか)

そう!? 2024年の十二支は「辰」。十二生肖といって十二支に12の動物をあてはめた時、「辰」にだけはなぜか架空の動物「龍/竜」があてがわれました。

「龍」という漢字は、日本では常用漢字として「竜」に置き換えられましたが、旧字体の「龍」も人名用漢字として使われています。

翻訳会社の雑学辞書トピック:竜

AIにより生成された竜の画像

中国では、最古の文字といわれる甲骨文字に「竜」に似た形状が見られるものの、その後は「龍」の字形へ変化し日本に伝わりました。しかし、この「龍」も簡体字では「龙」となっています。

想像上の生き物である「竜」は、世界各地の文明において似たような姿で描かれてきました。
中国から伝わった日本人にもお馴染みの「龍」は、ウロコの体に長い尾、角とひげと鋭い爪を持つ神獣・霊獣で、雨や雷を操るといわれています。韓国や東南アジアの国でも「龍」は吉祥の象徴とされます。

インド神話の"Nāgarāja"(ナーガラージャ)という半身半蛇の蛇神も、中国に伝わった時に「龍」と訳され、人々の想像力を飛躍させました。

変わって、ヨーロッパ文化圏にはドラゴンの伝承があります。「竜」は英訳すると"dragon"とされますが、文化の違いからかイメージの立ち位置が違っています。"dragon"は爬虫類のような体に蝙蝠のような翼があったりなかったり、だいたい口から火を吹く邪悪な怪物で、聖人や英雄たちに悪魔の化身として退治されています。

ですので、単純に「竜」="dragon"と訳すと意味が違ってしまう場合も考えられます。
ただ、アニメやゲームの異世界では、ペット化した竜や人に協力的なドラゴンなど、交雑種や様々なニュータイプが想像されていますので、もはや在来種は貴重な存在なのかもしれません。

さておき、このファンタジーな生物を世界で何と呼んでいるのか、まとめました。

龍/竜
竜/龍のイラスト
中国語(簡体字) 龙(ロン)
中国語(繁体字) 龍(ロン)
韓国語 용(ヨン)
ベトナム語 Rồng
(ロン)
タイ語 มังกร
(マンゴーン)
カンボジア語(クメール語) នាគ(ニー)
インドネシア語
マレー語
naga
(ナーガ)
ミャンマー語 နဂါး
(ナグァー)
ヒンディー語 अजगर
(アジュガール)
ドラゴン
ドラゴンのイラスト
スペイン語 dragón
(ドラゴン)
ドイツ語 Drachen
(ドラヘン)
オランダ語 draak
(ドラーク)
スウェーデン語 drake
(ドローッケ)
フィンランド語 lohikäärme
(ロヒカールメ)
ロシア語 Дракон
(ドラコン)
アラビア語 تنين
(ティンニーン)
ペルシャ語 اژدها
(エズデハ)

さて、ある広告会社がまとめた意識調査によると、AIに任せてもよい業務のNo.1は翻訳だそうです。
AIは私たちの仕事や生活を便利にしてくれるはずです。ですが、「画点睛」の故事になぞらえて、AIにその龍の目を描き入れてしまえば、たちまち私たちの手の届かないところへと飛んでいってしまうかもしれません。(う~ん、締めもうまくない…)

来年は辰は辰でも「甲辰」、成長、発展の年だそうです。かなり飛ぶかもしれませんね。手綱(ガイドライン)を保ってください。
それでは、良いお年をお迎えください。

参考:ウィキペディア「竜」ウィキペディア「ドラゴン」

2023.12.26

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