翻訳会社の雑学辞書トピック【数】

ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック

巨大数の翻訳:無量大数とは?

かず【数】
物の多少や順序を表す言葉。また、それを表す文字。数字。

英語number / 中国語数(簡体字); 數(繁体字) / 韓国語숫자 / フィンランド語määrä

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

学生の頃、漢字圏の数の単位に、驚愕したことがあります。
大きい単位は、万から、億→兆(はいはい、その先は?)→京→垓→𥝱→穣→溝→澗→正→載→極(へ~そんなにあるのか)→恒河沙 (ん?)→阿僧祇(んんん?)→那由他(読めない…)→不可思議(なんじゃそりゃ!)→無量大数 (もはや口が開いている)。

これが仏の掌の上で行われているらしいことは理解できましたが、数を表わす単位だとは思えませんでした。こんな途方もない数の概念を作り出す人間の想像力は凄いな、とその時は思ったものでした。不可思議の先の宇宙にはいったい何があるんだろう(遠い目)。。。

翻訳会社の雑学辞書トピック:数

しかし、科学が進歩した現在そして未来において、これらの巨大数は概念だけではなく実際に計算する時代になっています。では、この小さな地球上の他の国では、このような大きな数の単位をどのように表しているのでしょうか。
ラテン語の影響が大きいヨーロッパ言語では、数字を示すラテン語の接頭辞に-illionを付けて表しますので、割とわかりやすく統一されています。ところが、巨大な数字を翻訳する際には、様々な落とし穴があることがわかりました。

千進と万進、万万進

ヨーロッパ言語では1000の累乗、いわゆる数字3桁ごとに単位が付けられています(千進)ので、3桁ごとにカンマ(ピリオドやスペース)を入れるスタイルになっています。それに比べて、漢字圏においては4桁区切りで単位が付きます(万進)。しかしながら、世界と基準を合わせるためか、3桁ごとにカンマで区切るよう指導され、一般的になっています。この桁のズレが広がっていき惑わされますので、翻訳する際にうっかりすると段差につまづく可能性があります。
また、中国語には、万進のほかに万万進という方式も混在していたり、Megaを「兆」と名付けていることによる混乱もあるため、数字と単位の変換には、さらに注意が必要となります。

Short scale と Long scale

ヨーロッパ言語には、数字の単位の区切り方式として、Short scaleとLong scaleという2つのシステムが存在します。Short scaleは1000の累乗に基づいた方式で、主にアメリカやイギリスなど英語圏で使われます。Long scaleは100万の累乗に基づいた方式で、フランス語ドイツ語など英語圏以外の多くのヨーロッパ言語で使われています。
この異なった2つのスケールで単位の名称を当てはめていくと、10億の次から大きなズレが生じ、違う数値に同じ名称の単位が使われることになってしまいす。英語(Short scale)の1 billionは10億ですが、フランス語(Long scale)の1 billionは1兆を意味します。この穴に落ちると大きな誤訳を生むことになってしまいます。

以下のように、表にすると単位のズレが分かりやすいと思います。

日本語 Short scale
(英語)
Long scale
(仏・独語など)
Prefix
104
106MillionMillion Mega
108
109BillionMilliardGiga
1012TrillionBillionTera
1015QuadrillionBilliardPeta
1016
1018QuintillionTrillionExa
1020
1021SextillionZetta
1024𥝱; 秭SeptillionQuadrillionYotta
1027OctillionXenna
1028
1030NonillionQuintillionWeka
1032
1033DecillionVendeka
1036UndecillionSextillionUdeka
1039Duodecillion
1040
1042TredecillionSeptillion
1044
1045Quattuordecillion
1048QuindecillionOctillion
1051Sexdecillion
1052恒河沙
1054SeptendecillionNonillion
1056阿僧祇
1057Octodecillion
1060那由他NovemdecillionDecillion
1063Vigintillion
1064不可思議
1066UnvigintillionUndecillion
1068無量大数
1069Duovigintillion
10100GoogolGoogol; Gogol
10303Centillion

10100を表すGoogolという名前は、アメリカの数学者が子供の答えを採用し命名したものです。この巨大な数が無限ではないことを確信していたため、名前を付ける必要があったからだそうです。さらに多い数を表すGoogolplexという単位も作られました。
Googolは、スペルミスによりGoogleとして検索エンジンの名前にもなっています。

また、無量大数より大きい単位もあります。仏典に現れる最大の数詞、「不可説不可説転」は1037218383881977644441306597687849648128を表す単位で、悟りの功徳の大きさを表したものであるとされていますが、もう訳が分かりません。はたして人間の想像は宇宙の深遠を突き抜けているのか、これもまた想像の域を出ることはかないません。

参考:Wikipedia Names of large numbers 命数法 不可説不可説転

2019.10.21

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