翻訳会社の雑学辞書トピック【意味】

ナイウェイ翻訳サービスのスタッフによる翻訳に関する雑学辞書トピック

『Redneck』─言葉の意味の変遷─

い み【意味】
[名]言葉・記号などで表現され、また理解される一定の内容

英語meaning / 中国語意思, 含义(簡体字); 意思, 含義(繁体字) / 韓国語의미 / フランス語sens

参照元:weblio国語辞典goo国語辞書Glosbe

30年程前、米国・中西部の大学院に留学していた折、保守的な貧困白人層を侮辱的に指す「Redneck(レッドネック)」と言う表現を知りました。南部の強い日差しの下で野外労働する白人は「首すじが赤く日焼けしている」ことから由来しているとの説明でした。映画Easy Riderの衝撃的なラストシーンを鮮明に記憶していた私は、一種の「放送禁止用語」みたいなもので、公の場では使ってはいけない表現と理解しました。

あれから30年! 私は年間を通しての太陽の下でのジョギングで、腕とヒザ下と首筋を真っ赤に日焼けさせており、立派なRedneckになっております。

翻訳会社の雑学辞書トピック:意味

今ならば、仮に私がバイクを走らせていて、南部のオヤジさん達にピックアップトラックから銃口を向けられても、すっきり刈り上げたうなじを見せて「俺もあんたらと同じだぜ!」と言えるかも知れません。「いやいや、それじゃ相手が貧乏な白人労働者だと言ってるようなもので、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーの同様にライフルで打たれちまうよ。」と突っ込みを頂きそうですが。

ところが、どうも近年ではその田舎臭さや野性味を誇りとし自己のキャラクターとして主張する傾向が強くなってきているらしく、時代と共に変遷する言葉の意味について考えさせられました。上記の場面でも、意外にオヤジさん達のピックアップトラックと並走して近くのダイナーに行き、一杯やる仲になれるのではないでしょうか。

元来は南北戦争当時、北部の人間を「Yankee」、そして南部の人間を「Redneck」と侮辱的に互いを呼び合っていたのが始まりと言う説もあります。それならばNew York Yankeesに対抗して、南部のどちらかの都市にRednecksを名乗るMLBのチームが出来ても良いですね。(私が知らないだけで、マイナーリーグやルーキーリーグの中にその愛称を持つチームがあるのかも知れません。)

日本語でも時代の変遷とともに、その言葉の意味が変わってくる事がありますね。「ヤバイ」は私の子供の頃は悪い意味以外の使いようはありませんでした。そう考えると、英語でも日本語でも言語は時代と共にその意味を変えていく「生きもの」なのだとの思いを強くします。翻訳はこういった変化に常に対応していかねばなりません。

トランプ大統領の支持層として近年使われる「Rust Belt(錆びついた工業地帯)」も将来は現状の負のイメージの意味合いを変えるのでしょうか? 私も年々柔軟性を失いつつある固い頭を、せいぜいジョギングで揺らして柔らかくして、意味合いの変化と言う「言語の冒険」に乗り遅れないようにしたいと思います。

2018年11月

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