翻訳会社のコーディネーターって何をしているの?

「翻訳者を選ぶ仕事」の裏側をご紹介します

「翻訳会社に依頼したら、誰が翻訳しているの?」
お客様からだけでなく、友人や知人からも時々聞かれる質問です。

「翻訳会社だから、社内に翻訳者がたくさんいるんでしょう?」
そんなイメージを持たれる方も少なくありません。翻訳会社のオフィスに、各言語のネイティブスピーカーがずらりと並んで机に向かっている―そんな風景を想像される方もいらっしゃいます。

しかし実際には、多くの翻訳会社では、お客様と翻訳者をつなぐ 「コーディネーター」 が重要な役割を担っています。翻訳者は世界中に散らばっており、それぞれの得意分野で活躍する専門家たち。その膨大なネットワークの中から、案件ごとに最適な人材を選び、プロジェクトを動かしていく司令塔こそがコーディネーターなのです。

今回は、普段あまり表に出ることのない、翻訳会社のコーディネーターの仕事をご紹介します。

翻訳は、依頼を受けた瞬間から始まっている

翻訳会社に原稿が届くと、最初に目を通すのは翻訳者ではありません。
まず担当コーディネーターが、お客様からいただいた原稿やご要望を確認するところから、すべてが始まります。

翻訳する言語はもちろん、次のような項目を丁寧にヒアリングします。

  • どのような用途で使用するのか
  • 誰が読む文章なのか
  • 納期はいつなのか
  • レイアウトの調整は必要か
  • DTP作業は必要か
  • ローカライズやファクトチェックは必要か
  • 過去に類似案件はあったか
  • 用語集やスタイルガイドはあるか

同じ「英訳」というご依頼でも、社内で共有するためのものなのか、海外の取引先に提出する正式書類なのか、Webサイトに掲載してブランドイメージを伝えるためのものなのかによって、求められる翻訳のトーンも精度もまったく異なります。

NAIwayでは、このヒアリングも品質管理の一つと考えています。翻訳を始める前に目的やご要望を正確に把握し、その内容を翻訳者や品質管理担当者へ確実に共有することで、完成する訳文の品質を高めています。逆にいえば、ここでのヒアリングが不十分だと、どんなに優秀な翻訳者が担当しても「思っていたものと違う」という結果になりかねません。

「英語ができる人」が最適とは限らない

「英語への翻訳なら、英語ができる人にお願いすればいいのでは?」
そう思われるかもしれませんが、翻訳では「何を翻訳するか」が非常に重要になります。

例えば、

  • 医療論文
  • 契約書
  • 機械のマニュアル
  • 観光パンフレット
  • マーケティング資料
  • アンケート調査票
  • 財務報告書
  • 特許明細書

これらは同じ英語でも、求められる知識や表現がまったく異なります。医療論文には解剖学や薬理学の知識が、契約書には法律用語と厳密な構文が、マニュアルには正確さと分かりやすさの両立が、観光パンフレットには読み手の心を動かす表現力が求められます。

医療分野に精通した翻訳者が観光を得意としているとは限りませんし、マーケティングに強い翻訳者でも法律文書では専門性が不足している場合も多くあります。医師免許を持つ翻訳者が書いた観光パンフレットが、必ずしも旅心をくすぐる文章になるとは限らないのです。

そのためコーディネーターは、原稿の内容を丁寧に確認しながら、「この案件には誰が最も適しているか」を慎重に判断しています。原稿の分野、専門性のレベル、想定読者、納期、ボリューム――これらの条件を総合的に見極め、数百人・数千人規模の翻訳者データベースの中から最適な一人を選び出す作業が、コーディネーターの腕の見せどころです。

翻訳者選びは「専門分野」と「経験」がポイント

しかしながらNAIwayでは、翻訳者を選ぶ際に言語だけで判断することはありません。

例えば、「医療機器の取扱説明書」であれば、医療や工学分野の経験が豊富な翻訳者を。
「海外向けのWebサイト」であれば、読みやすさやマーケティング表現を得意とする翻訳者を。
「海外アンケート」であれば、各国の文化や生活習慣を理解し、ローカライズの経験が豊富な翻訳者を選定します。

さらに、

  • 過去に同じお客様を担当したことがあるか
  • 用語集を共有しているか
  • 希望納期に対応できるか
  • 現地のトレンドや最新の業界動向に精通しているか
  • お客様の企業文化やブランドトーンを理解しているか

なども考慮しながら、最適な担当者を決定します。

継続的にお取引をいただいているお客様の場合、同じ翻訳者を継続的にアサインすることで、用語や表現の一貫性が保たれ、翻訳品質はさらに安定していきます。翻訳品質は、翻訳を始める前の「人選」によって大きく左右されるのです。

翻訳者もNAIway独自の基準で登録しています

「誰でも翻訳者として登録できるのですか?」というご質問もいただきます。
NAIwayでは、独自の翻訳テストを実施し、一定以上の品質基準を満たした翻訳者のみを登録しています。

しかしながら、評価しているのは翻訳力だけではありません。

お客様のご要望を理解し、納期を守り、必要に応じて適切な確認や相談ができるかといった、実務上のコミュニケーション能力も重視しています。原稿の中で不明瞭な点があった場合に、勝手に解釈して訳すのではなく、きちんと質問を投げてくれるかどうか。イレギュラーな事態が発生したときに、早めに報告してくれるかどうか。こうした姿勢は、実は翻訳スキルと同じくらい重要な要素です。

翻訳は、一人だけで完結する仕事ではありません。コーディネーターや品質管理担当者と連携しながら進めるプロジェクトだからこそ、円滑なコミュニケーションも品質の一部なのです。

翻訳者に任せて終わりではありません

翻訳者が作業を開始した後も、コーディネーターの仕事は続きます。
作業の進捗を確認し、お客様から追加のご要望があれば速やかに翻訳者へ共有します。急な仕様変更や追加原稿への対応、納期調整のご相談など、プロジェクトの進行中にはさまざまな場面でコーディネーターの調整力が試されます。

翻訳完了後は、品質管理担当者(校閲者・チェッカー)が訳抜けや文法、用語の統一、数値や固有名詞の正確性、そしてお客様のご要望が反映されているかなどを細かく確認します。翻訳者の目と、チェッカーの目、さらにコーディネーターの目という複数のフィルターを通すことで、単独の作業では見落とされがちなミスも発見されやすくなります。

NAIwayでは、この一連の品質管理を独自の 「QAS(Quality Assurance System)」 として運用し、翻訳後も徹底したチェックを行っています。

QAS(Quality Assurance System)とは
https://www.naiway.jp/guide/qas/

コーディネーターは「最適な翻訳方法」をご提案する役割も

近年はAI翻訳やポストエディット(PE)の普及により、翻訳方法も多様化しています。
すべてを人力翻訳で行う方がよい案件もあれば、AI翻訳を活用した方がコストや納期の面で適している案件もあります。

また、基本的にはターゲット言語(日英翻訳であれば、翻訳後の英語がターゲット言語です)のネイティブが訳出をしておりますが、内容によっては"敢えて"日本人の日英翻訳者が対応した方が好ましい場合もあります。原文が日本語独特の文脈やニュアンスを多く含む場合、日本語を母語として深く理解している翻訳者の方が原意を正確に汲み取れることがあるからです。

NAIwayでは、お客様の目的やご予算、希望の言語、文書の重要度などを踏まえ、AI翻訳、人力翻訳、ポストエディットなどの中から最適な方法をご提案しています。「安ければよい」「速ければよい」ではなく、その案件にとって最もふさわしい進め方を一緒に考える――これもコーディネーターの大切な役割の一つです。

まとめ

翻訳会社というと、「翻訳をする会社」というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、その前後に多くの工程があります。

お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、最適な翻訳者を選び、進捗を管理し、品質を保証し、納品まで責任を持ってサポートする――その中心にいるのが、コーディネーターです。

翻訳の品質は、翻訳者の技術だけで決まるものではありません。
「誰が担当するか」「どのように進めるか」を見極めるコーディネーターの存在も、高品質な翻訳には欠かせない要素なのです。

翻訳をご検討の際は、「どの翻訳者が担当するのか」だけでなく、「どのような体制で品質を管理しているのか」にも、ぜひ注目してみてください。


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