タガログ語、フィリピン語の歴史
フィリピン諸島は、7000以上の島から成り、言語も文化も多様であるため、統一国家を形成することが困難でした。また、長年スペインによる統治が続き、その後アメリカの支配下にあったため、この2国の影響が強く、いまでも英語が公用語の1つになっています。
独立後も、この国で使用されている言語の数が100以上にものぼり、それぞれ相互理解が不可能であることから、そのうちのどれかの言語を基礎として国家の標準語が形成されることはなく、1959年には、「ピリピノ」と呼ばれるタガログ語に他の現地語の要素をいくらか加えた人工的な言語が、国語として制定されました。
しかし、ピリピノはそれほど普及せず、後に現在の「フィリピノ」(フィリピン語) という名称に改められました。実体はほとんど同じで、タガログ語にすでに根付いていたスペインやアメリカからの外来語、借用語、そして外国語の単語そのものを取り入れたものです。
ですが、ほとんどのフィリピン人は、フィリピン語はマニラ首都圏で話されているタガログ語の別名であると考えています。そして、フィリピン語は、フィリピン各地からマニラに流入してくる人々により各地の言葉が追加されていき、現在も変化し続けている言語です。
タガログ語 (フィリピン語) 文法のポイント
タガログ語の「人(物)は~です。」という形の文章には2種類あり、自然語順という一般的なものは述語+主語であり、倒置語順というものは名前の通り語順が逆になるので主語+述語という形になります。
つまり、「山田さんは美しい。」をタガログ語にすると、Maganda(美しい)+Si Yamada(山田さん)で、Maganda Si Yamada. 、Si Yamada(山田さん)+Maganda(美しい)でSi Yamada ay Maganda.(この語順の場合、ayが付きます。) の2つの言い方ができるのです。
また、タガログ語では、同じスペルでもアクセントを置く場所が変わると意味も変わります。たとえばasoは、aにアクセントを置くと「犬」、oにアクセントを置くと「煙」という意味になります。
タガログ語は語順が変則で難しく、動詞の変化が多くて、文法的にはかなり複雑な言語と言えます。